2011年9月17日土曜日

再生可能エネ導入着々 金沢市

-----読売新聞、2011/09/17

------小水力発電ニュース------
■マイクロ水力発電 石徹白集落に
設置されているマイクロ水力発電用の
水車。用水から引いた水で水車を回す
(NPO法人「やすらぎの里いとしろ」提供)
   東京電力福島第一原子力発電所の事故以降、再生可能エネルギーが注目を集めている。全国で唯一、自前の水力発電を稼働している金沢市は、これまで以 上に電力を確保しようと、「再生可能エネルギー導入等研究会」を8月に設置し、ごみ発電能力の増強や用水発電の調査に乗り出した。

   金沢市は1921年に民間電力会社から電気事業の経営を引き継いだ。国から許可を得た公営電気事業者は全国で26あるが、同市は唯一、市営で発電 事業を行っている。犀川ダム、内川ダムを利用し、5か所の市営水力発電所で1億3775万キロ・ワット時(2010年度)を発電。この電力量は一般家庭約 4万世帯分の使用電力量に相当する。

中略

   金沢市内には犀川や浅野川から引かれる55本の用水があり、総延長約150キロの長さを誇る。同市は、網の目のように細かく流れる用水に発電用水車を設置し、出力100キロ・ワット以下の小規模な水力発電(マイクロ水力発電)として利用可能か検討を始めた。
   8月には、マイクロ水力発電の先進地として知られる岐阜県郡上市石徹白(いとしろ)集落を視察。同集落では、地元NPO法人などが農業用水にらせ ん型水車(最大出力800ワット)などを取り付け、事務所や街灯の電気などに利用している。今後は、より出力が大きい水車(同2・2キロ・ワット)を稼働 させ、農産物加工場の電気の一部を賄うという。

   ただ、電力自給率を高めるために用水に水車を設置するには、克服しなければならない課題もある。
   その一つが水利権だ。水車設置には用水を引いている河川の管理者の許可が必要。2級河川の犀川の場合、管理者である県に設置による水量変化などを証明する計画書を提出し、許可を得なければならない。
   また、コスト面も大きな課題だ。水車を回すには、高低差を生み出す用水に改修しなければならない。そのためには多額の工事費が必要だ。さらに、維持費なども考慮すると、現状では採算性は低い見通しだ。
   市環境政策課は「市民に親しまれている身近な用水を活用することで、エネルギーの重要性を市民に訴えることにもつながる」と話し、導入に向けて前向きに検討を進めるという。

全文
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/ishikawa/news/20110917-OYT8T00129.htm