農業用水による「エコ社会」小型の水力発電で地域づくり那智勝浦町・和歌山-----紀南新聞、3/30
小型の水車を農業用水に設置し発電させることで、環境に配慮したエコで価値の高い地域づくりを考える「那智勝浦町の可能性~農業用水・学校から始まる豊かな社会づくり~」が28日、那智勝浦町立市野々小学校(尾中信彰校長)の校庭で開かれ、訪れた地域住民ら約60人は、和歌山大学システム工学部の中島敦司教授の講演を熱心に聴講し、地域から取り組む問題を考える機会にした。
地域づくりを考えるきっかけとなる水力発電への取り組みは、町農業委員会が町内の農業用水を利用して何か取り組めないかと検討を始め、市野々小学校のそばを流れる農業用水をモデルケースにと、校内に金属板の小型水車を設置した。
環境に配慮した社会を住民自らが構築することで、付加価値のある地域づくりを目指したいと意気込む。地域住民の主導で話が進み、行政が協力するという全国でも珍しいパターンだという。
今回、農業用水が流れ小型水車が設置された校庭を会場に、中島教授が「農業用水の可能性」をテーマに基調講演を行い、「小水力発電で何ができるか」のパネルディスカッションを繰り広げた。最後には、設置した小型水車を発電させ、電子ピアノや電子ギターを使ったコンサートが開かれ、大いに盛り上がった。
中島教授によると、農業用水からエネルギーを自分の力で作ることは、自家発電で生活ができ、災害にも強い町づくりになると強調する。輸入に頼る石油が値上がりしてもさほど影響を受けない点や、小型水車を導入する費用はかかるが、大型と違い、町の鍛冶(かじ)屋や土木関係者が仕事するなど、この費用も地域に還元される点なども利点だと続けた。
さらに、発電を利用して観光地の那智山で電気自動車を走らせば、環境も良くなり付加価値のある観光地となるうえ、豊かな水力を保つために、山の整備にも力が入り、社会全体の環境が良くなると力説する。中島教授は「平和な未来につなげるため、農業用水を利用した小型水力発電を試してみよう」と呼びかけた。
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