2011年10月20日木曜日

<新エネルギー時代~沖縄の今 これから> 第1部 胎動/小水力発電/落差と水流で可能に

・-----琉球新報、2011/10/18

------小水力発電ニュース------

濃紺の湖面には噴水の水柱が七色の虹を映し出している。周りには色とりどりのカヌーが水遊びをしている。沖縄本島の水がめ、ヤンバルの福地ダム(国管理)。25メートルプール18万3千個以上の貯水容量で、中南部の県企業局の浄水場に送水している。その水流で発電しているのが小水力発電だ。
 島の地形上、県外のように長い河川や大規模ダムがなく大型水力発電施設は設置できないものの、わずかながら県内でも小水力発電が行われている。県の2009年3月時点の推計によると、火力以外の県内の新エネルギーによる発電量のうち1割にも満たない。
 1974年に運用が開始された福地ダムは、石油危機を受けて水力エネルギーの導入が検討され、再開発後の83年から小水力発電が採用された。
 最大出力は約1千キロワット、年間発生電力量は、96年度から10年度までの平均で年間約4200メガワット時(420万キロワット時)だった。そのうち約2割の800メガワット時を、福地ダムに接続している北部5ダムの庁舎運営やポンプ駆動の電力として消費、残った3400メガワット時は沖縄電力に売電している。フル稼働した場合、売電で年間約3300万円の売り上げになる。
 水力発電はダムだけではない。必要な落差と水流があれば発電は可能だ。ダムの水を飲料水に浄化するための西原浄水場でも小水力発電を実施している。ダムからいったん調整池にためた水を浄水場まで流す送水管が約20キロ、落差は30・4メートル。この落差と水量で発電する出力は約340キロワット。10年度実績で同浄水場施設の電力の約13%を賄い、年間約3200万円の電気料金の低減になっているという。
 県が07年度にまとめた小水力発電の可能性調査報告書によると、ダムや導送水管では小水力発電の可能性があるとした。モデルケースとして例示した北谷浄水場について「水力発電設備の法定耐用年数内で投資額の回収が可能で事業化が期待できる」と結論付けた。だが浄水場を管理する企業局は「詳細な検討の結果、安全確保の施設が必要で発電コストが高いことから断念した」と実現の計画はない。
 県内のエネルギー施策を担当する県産業振興課は、小水力発電の促進について「伸ばしていこうという方針だが、具体的にはなかなかまだ見えていない。まずは太陽光や風力による基盤構築事業を始めているところだ」と説明している。
 (「新エネルギー」取材班・滝本匠)
(火―木曜掲載)
   濃紺の湖面には噴水の水柱が七色の虹を映し出している。周りには色とりどりのカヌーが水遊びをしている。沖縄本島の水がめ、ヤンバルの福地ダム(国管理)。25メートルプール18万3千個以上の貯水容量で、中南部の県企業局の浄水場に送水している。その水流で発電しているのが小水力発電だ。
   島の地形上、県外のように長い河川や大規模ダムがなく大型水力発電施設は設置できないものの、わずかながら県内でも小水力発電が行われている。県の2009年3月時点の推計によると、火力以外の県内の新エネルギーによる発電量のうち1割にも満たない。
1974年に運用が開始された福地ダムは、石油危機を受けて水力エネルギーの導入が検討され、再開発後の83年から小水力発電が採用された。
   最大出力は約1千キロワット、年間発生電力量は、96年度から10年度までの平均で年間約4200メガワット時(420万キロワット時)だった。そのうち約2割の800メガワット時を、福地ダムに接続している北部5ダムの庁舎運営やポンプ駆動の電力として消費、残った3400メガワット時は沖縄電力に売電している。フル稼働した場合、売電で年間約3300万円の売り上げになる。
   水力発電はダムだけではない。必要な落差と水流があれば発電は可能だ。ダムの水を飲料水に浄化するための西原浄水場でも小水力発電を実施している。ダムからいったん調整池にためた水を浄水場まで流す送水管が約20キロ、落差は30・4メートル。この落差と水量で発電する出力は約340キロワット。10年度実績で同浄水場施設の電力の約13%を賄い、年間約3200万円の電気料金の低減になっているという。

      以下省略

   (「新エネルギー」取材班・滝本匠) (火―木曜掲載)

   出展:琉球新報 2011年10月18日 p5 より