2012年1月14日土曜日

再生可能エネルギー 農漁村活性化に生かせ

-----岩手日報、2012/01/10


------小水力発電ニュース------
 農林水産省は農漁村で太陽光や風力などを活用した再生可能エネルギーの発電を推進する方針を示した。農漁村の自然環境を「地域資源」と位置づけ、有効利用する。

 自然豊かな本県は再生可能エネルギーの潜在力が高い。環境を保全し、農漁村の可能性を広げる好機としたい。

 千葉大と環境エネルギー政策研究所は、再生可能エネルギーで家庭や事務所などの電力をどれだけ賄っているかの「自給率」を試算した。

 1位は温泉熱など地熱を活用している大分県で25・2%。本県は10・43%で6位。全国平均の3・2%に比べると数値は格段にいい。

 中でも地熱発電所のある雫石町は216・3%、風力発電を取り入れている葛巻町は117・6%と「完全自給」を達成している。

 注目したいのが、小水力発電だ。小水力発電は河川や農業用水路などを利用した発電方法で、比較的規模の小さな水力発電。

 昨年、県が実施した農業用水路発電可能性調査によると17カ所のうち13カ所で発電できる可能性があった。7カ所は電力会社に売電できる発電量が期待される。

 一関市の照井土地改良区は2005年から用水路を使った小水力発電に取り組んでいる。年間発電量は一般家庭約85世帯の消費電力に相当するという。水田保全の観点からも小水力発電は有効だ。

 振り返ると、われわれは、いかに気ままに電気を浪費してきたか。東日本大震災は電気のありがたさを再認識させ、生活の見直しを迫った。

 東京電力福島第1原発事故は放射性物質汚染の恐ろしさを見せつけ、国内外に風評被害をもたらした。各地の原発も運転中止となり、国民は節電を強いられた。

 原発の対極にあるのが、環境に優しい再生可能エネルギーだ。しかし、10年度の総発電量に占める電源比率は9・9%にとどまっている。

 脱原発を進めるうえでも再生可能エネルギー発電をもっと普及させたい。

 農水省は発電設備の用地確保のため、点在する耕作放棄地を集約する制度の創設や各種の規制緩和なども視野に入れている。

 耕作放棄地の集約では市町村が農地の所有権、賃貸権を一括して移転できるよう特例措置を設け、煩雑な手続きを簡素化する。

 今夏から発電した電力の「全量」を電力会社が買い取る制度が始まる。当初、発電施設の整備に費用はかかるが、将来的に売電が農漁家の収入増につながれば何よりだ。

 「地域分散」「地産地消」という再生可能エネルギーの特徴を農漁村の活性化に生かしたい。

転載元
http://www.iwate-np.co.jp/ronsetu/y2012/m01/r0110.htm