2013年7月5日金曜日

環境問題の解決策?知られざる「小水力発電」の世界 [最新号紹介]

・-----ビッグイシュー、2013/07/03

------小水力発電ニュース------
こんにちは、ビッグイシュー・オンライン編集長のイケダです。最新号の読みどころをピックアップいたします。

「小水力発電」の知られざる世界

みなさん、「小水力発電」って知ってますか?お恥ずかしながら、ぼくはまったく知りませんでした。おそらく、これをお読みの多くの方も、よく理解していないキーワードなのではないでしょうか。
最新号では、この「小水力発電」をテーマに9ページの特集が組まれています。ぼく自身の勉強も兼ねて、「小水力発電」とは何か、そしてその可能性について、抜粋してご紹介いたします。

そもそも小水力発電とは何なのか。wikipediaより引用です。
マイクロ水力発電(マイクロすいりょくはつでん、Low head hydro power)は、小規模な水力発電である。小水力発電(しょうすいりょくはつでん)ともいう。中小河川、用水路、さらにはトイレの洗浄水等、様々な水流を利用して発電を行う。
さまざまな方式があるそうですが、記事中では主に、パイプを敷設した上で「高低差」を利用する発電の事例が紹介されています。wikipediaに掲載されているこちらの施設を見ていただけるとわかりやすいと思われます。
800px Machikawa power station 1
そんな小水力発電、多大なポテンシャルを秘めているそうです。
今、小水力発電(1000kW未満)のもつ可能性は、出力で黒部ダム15個分の約490万kW、その適地は1万7708カ 所あると見積もられ(環境省)、適地の半分は短期間で開発できるといわれている。ところが、現実の数は522カ所、3%にも満たない。はるかに適地の少な いドイツでも、日本の14倍、7325もある。

しかし、日本においてはこの小水力発電は「非効率」なものとして廃止の憂き目に遭いました。以下、茨城大学農学部教授の小林久さんの解説です。
明治から戦前にかけて、全国各地には地域の有志や民間によってつくられた電力会社がいくつもありました。小水力発電所も1910〜1925年には、毎年50〜100カ所つくられていて、当時の資料なんかを見ると、採算も経営もそこそこ成り立っていたんです。
ところが、戦時中の「電力国家統制法」で各地の電力会社が国家の下に一括管理されるようになり、戦争が終わった後も東京電力や関西電力などの「9電力」会社に再編されてしまいました。
その後、大きなダムや火力発電所が増えていくなか、小水力は「非効率だよね」と、廃止になってしまったんです。

長らく憂き目を見た小水力発電ですが、3.11以降に許可申請が簡素化され、さらに政府による再生エネルギーの「固定価格全量買取制度(FIT)」がスタートしたことによって、再び注目が集まります。
特集のなかではさらに詳しく、
・村の電力の20〜25%を小水力発電でまかない、年間1,400万円以上の売電収入を得る岡山県西粟倉村
・年間56万kWを発電し、2,000万円の収入を見込む、高知県馬路村の小水力発電計画
・年間約2,500万円の収入を見込む、人口150人の地域、高知県土佐山高山地区の小水力発電計画
・50年以上現役で運転している、愛媛県新居浜市の「別子山発電所」
などの取り組みが紹介されています。いずれも地域の問題解決につながる、可能性を感じさせる事例ばかりです。

特集のなかで印象的だったのは、以下の小林教授の言葉。
そもそも大規模集中型の発電は、電気が身近につくられないので、電気のことを知らなくていいという風潮をつくり、我々を無知にしてしまう。目の前を流れる川を見たり、風を見ている私たちが、そこにあるエネルギー源とに気づけないようになってしまうんです。
水、風、熱、光…エネルギーというのは、本来身近なものです。しかし、ぼくらはそのことに気づかず、日々を過ごしてしまっている。有り体にいえば、自然を意識することもなくなっていますし、ましてや、感謝することも減っていると考えられるでしょう。
小水力発電というのは、エネルギー供給源のシフトというだけではなく、現代に生きるぼくらの価値観のシフトともいえるのかもしれませんね。

特集はさらに具体的に、小水力発電の可能性について紹介しています。興味がある方は、ぜひ路上にて、販売者の方からご購入ください。

※転載元
http://bigissue-online.jp/2013/07/03/218-pickup/