2012年1月6日金曜日

「卒原発」に挑む(4) 小水力

-----Asahi.com、2012/01/05


------小水力発電ニュース------
∞ 「鶴岡方式」水車回る
 山形県は水力のエネルギー量が全国9番目に多い。ただ2005年の資源エネルギー庁のまとめでは、利用されているのはその半分にとどまる。大規模な水力発電所の新設は環境保全の観点などから難しいが、「小規模なものならまだまだ可能性がある」と県農山漁村計画課の森屋孝主幹(56)。農村部で普及している農業用水を利用した発電だ。

 鶴岡市内で実用化に向けた小型の水力発電装置の開発が進んでいる。鶴岡工業高専の丹省一名誉教授(66)と本橋元教授(52)が00年に開発に着手し、地元企業を巻き込んで改良を重ねてきた「鶴岡方式」と呼ばれる水車だ。09年1月に下水道の排水路に取り付けて発電実験を行い、1年前から羽黒山大鳥居そばの農業用水路で実証試験を続けている。

 水車は直径1・2メートルで、出力は民家5、6軒分の電力に相当する3キロワット。「落差工」と呼ばれる用水路の段差部分につるすように据え付ける。2メートル程度の落差でも効率よく回るように工夫された。さらに水車の大敵の「ゴミ詰まり」がおきにくいよう設計されているのが大きな特長で、「ゴミで運転に支障をきたしたことは一度もない」と丹さん。

 この間、水車の回転を発電機に伝えるチェーンが切れるトラブルがあったが、携帯電話に「異常」を知らせる警報システムも備える。実用化へ、水車の設置とメンテナンスがしやすい可動式の導水路を取り付ける改良もした。

 共同開発している地元の電気設備会社によると、この3キロワットの発電設備の設置費は東北電力の送電線に接続する工事を含めて約300万円。一般的に小水力発電の導入経費は1キロワット当たり150万円とされるが、産学連携の鶴岡方式は「1キロワットあたり70万円以下、1基200万円以下にできる」と丹さん。小水力に詳しい東京電力電力流通本部の稲垣守人部長(53)は「エネルギーの地産地消、ものづくりの地産地消になり、地域の発展につながる」と評価している。

つづき
http://mytown.asahi.com/yamagata/news.php?k_id=06000001201050001