・-----日本経済新聞、2011/11/20
------小水力発電ニュース------
「全量買い取り」追い風 特区申請 手続き簡素に
企業と自治体が連携し、中小河川や農業用水を利用した小規模水力発電所を建設する。野村ホールディングスは栃木県と、三井金属は岐阜県と検討を始めた。河川が豊富な日本では小水力発電の開発余地は大きい。来年からの再生可能エネルギーの全量買い取り制度の開始を控え、自治体が普及の壁になっている水利権の手続きを簡素化する特区を申請、企業の早期事業化を後押しする。
地元金融も資金
野村HDの全額出資子会社である野村アグリプランニング&アドバイザリー(東京・千代田)は栃木県で小水力発電所の開発に乗り出す。来春にも出力10キロワット程度の発電機を栃木県内の農業用水路2カ所に置いて事業化調査を始め、2013年度にも商用化する。
12年度にも開発にあたる特定目的会社(SPC)を設立。地元金融機関や企業から事業資金10億円を集める見通し。栃木県は計画を前提に政府が新成長戦略に沿って創設する「地域活性化総合特区」の指定を申請。水利権を巡る煩雑な手続きを軽減する。最終的に県内100カ所近くで発電所を開発する方針だ。
三井金属子会社で鉱物リサイクルを手掛ける神岡鉱業(岐阜県飛騨市)は13年にも、旧鉱山の敷地内を流れる2つの川の水を使った水力発電所を建設する。出力は1カ所600キロワット、投資額は10億円前後。発電した電気は地元の電力会社に販売する。
岐阜県も国に特区を申請した。そのほか、長野県内の飯山市や駒ケ根市など6市町村や群馬県も小水力発電を念頭に置いた特区を申請済み。指定は年内にも結果が出る見込みだ。
特区以外でも、日本工営は鹿児島県伊佐市と連携し、12月から出力460キロワットの水力発電所を建設する。13年4月に運転開始の見通し。使われなくなっていた水力発電所の遺構を市から借り受け、4億円強を投じて発電所を新設する。
東京電力子会社の東京発電(東京・港)も今年2月、茨城県北茨城市から譲渡を受けた水力発電所の遺構を再整備して出力130キロワットの発電所の運転を始めた。
省略
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