2011年8月22日月曜日

新エネ 茨城パワー(6)筑西の小貝川小水力発電所 既設水路の落差を活用

-----東京新聞、2011/08/20

------小水力発電ニュース------

筑波山の中を通り小貝川を渡る
パイプライン=筑西市で
  「バタン、バタン」。筑西市辻の小貝川右岸にある小水力発電所の発電機室に、鉄製のカバーで覆われた直径約四三・五センチの水車がある。耳を近づけると、規則的に羽根が回る音が聞こえる。
  「関東平野の中で(高低の)落差を利用した画期的な発電施設だと思います」。独立行政法人水資源機構霞ケ浦用水管理所(かすみがうら市)の技術担当所長代理、塩津徹さん(48)は自負する。
  筑波山を貫く既設のパイプラインを有効活用しているのが特長だ。パイプラインは筑波山の調整池から落差約十九メートルのところにある小貝川で本管 から分岐し、同川に注水している。注水部に水車の発電設備を取り付け、高低差によって生じる水の位置エネルギーで水車を回し、発電している。
  運転は当初四月を予定していたが東日本大震災の影響で遅れ、五月一日から始まった。最大出力百十キロワット。年間発電量は最大約八百十メガワットで、一般家庭二百二十戸分に相当。CO2の削減効果は年間約四百五十トンで、一般家庭八十九戸分という。
  設置は、同機構による地球温暖化防止の取り組みの一環。全国十七の水路施設の中から選んだ決め手は投資効果だった。既設のパイプラインを生かせる上、小貝川で注水するのは工業用水なので、水量が一定で安定した発電が見込める。

続き
http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/20110820/CK2011082002000058.html




過去記事

関東平野の中央で小規模水力発電 筑西の小貝川で建設

2010年12月16日 東京新聞
水力発電の機器の据え付け作業=筑西市で
 水資源機構霞ケ浦用水管理所は、小規模な水力発電設備の建設を筑西市の小貝川で進めている。霞ケ浦から取水し、県西部の工業用水や農業用水などに供給している既存の水路を活用する。二酸化炭素(CO2)の削減効果もある。本格稼働は来年四月の予定。同管理所によると、この種の発電設備の建設は関東地方では初めて。 (原田拓哉)
 霞ケ浦の水は現在、ポンプで揚水地点(かすみがうら市牛渡)から、筑波山に沿って五十六メートルの高さまで吸い上げる。筑波山をトンネルで貫き、さらにパイプラインを通じて、桜川、小貝川、鬼怒川に放流され、県西部に供給されている。
 水力発電設備を建設しているのは、筑西市辻の小貝川での放流場所。筑波山のトンネル貫通地点から十七メートルの落差があることを利用し、水の持つ位置エネルギーから電気エネルギーを生み出す。水路に、水車と発電機を据え付ける。来年二月までに完成させる。
 小貝川では、工業用水として注水されているため、安定的な水量が確保できる。使用水量は毎秒〇・七六トンで、最大出力は百十キロワット、年間の発生電力は一般家庭二百二十世帯分に相当する。CO2の削減効果は一般家庭八十世帯分に当たる年間四百十トン。発生した電力は売電する計画。
 同管理所は「落差が十七メートルあるので、効率的にエネルギーを発生させることができる。関東平野の中央で水力発電ができるのは画期的なこと」と話している。