2013年6月24日月曜日

小水力開発支援協会代表理事に聞く~合理的で強靭な「地域エネルギーシステム」の構築を目指して~

・-----エコタイムズ社、2013/06/21

------小水力発電ニュース------
 最も古くからエネルギー源として活用されてきた「小水力」。環境省が2011年4月に公表した「平成22年度再生可能エネルギー導入ポ テンシャル調査報告書」によると、河川部で中小水力の導入ポテンシャルは1,400万kWと明記されている。今後の開発・普及ポテンシャルはまだ十分に存 在しているといえる。「小水力」事業を推進する小水力開発支援協会の代表理事であり、全国小水力利用推進協議会事務局長の中島大氏に小水力発電事業の現状・課題などを聞いた。

小水力開発支援協会 代表理事
全国小水力利用推進協議会 事務局長 中島大氏



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Q.現在、「小水力」が抱えている課題・問題点はなんですか

   最大のカギは「事業者主体形成」にあると私は思っています。地域に根付いている人たちが地域資源を開発するのがいちばん望ましいというのが私の理念です。 水資源というのは、日本にとっては貴重な資源であり、歴史的にも古くから利用されて、最も重要な環境資源として生かされてきました。水資源へのアクセスと いうのは、新たに開発しようとするときに、すでにその資源へのアクセスを持っている人たちの権利を守らなければいけません。農業水で使ったり、生活用水で 使ったり、魚釣り、あるいは環境としてそこに水があること自体に価値があると考える人たちも含めて、そこに住んでいる人たちにまず権利がある、ということ です。そこに第3者が入ってきて発電事業を推し進めるという場合、関係者の合意をとらなければいけない、ということがあります。ですから、自分たちで開発 することがいちばん望ましい、ということです。そうなると、水力発電所を作ったことがない人たちが作るわけですから、それは簡単なことではない。そこがい ちばんの課題、ボトルネックかなと思っています。まず、「地域内事業主体の形成」がいちばん大事なことです。

   次に地域の人々が一致団結して「事業主体」を形成しても、「ファイナンス(資金)」の問題が出てきます。水力発電所を建設するのに3億、4億かかりますか ら。地域金融を活用するのが理想的ですが、現時点で地元の金融機関が小水力発電事業に理解をしているか、という問題があります。「小水力」のようなエネル ギーインフラの構築には適切な資金調達が不可決なのですが、巨大マネーが国境を越えてさまざまな軋轢を引き起こす時代において、地域経済の観点からも、長 期安定的な経済的利益をもたらす小水力エネルギーインフラに対して「地域内資金」を投じていくことが大きな意味を持つと考えています。
 
   3つの目の問題として、「エネルギーの管理」ということが挙げられます。「エネルギーの地域管理」という意味では、自給の面でも考えていかなければいけな い、ということです。開発するわけですから、当然マイナスの影響も出てくるわけです。なぜ開発しなければいけないのか、どの程度の開発をするべきなのか、 ということをしっかりと議論して、では自分たちは電気をどのくらい使っているのかを並行して考えることが大切です。目安としては、自分たちが使っている電 気くらいは自分たちが作る水力発電所で賄うということですね。この地域では、いちばんのエネルギー源は小水力だよね、では、どこにつくればいいのか、を議 論していくべきですね。一方、小水力発電所をつくると川の水を使うことになるので、エネルギーの無駄使いはやめよう。電気の使い方も考えていこうと「省エ ネ」にもなります。トータルなエネルギー管理を地域でやっていくことが望ましい、ということです。

※リンク先より転載
http://ecotimes.jp/news/view/id:355.html